
「ヒロシマ
トマト 司修展」学芸員のつぶやき①
現在開催中の「ヒロシマトマト 司修展」を、展示担当学芸員がご紹介します。
今回は、司修の最初の絵本について。
司修は、絵を描こうと、1959年、23歳のときに、生まれ住んでいた前橋から東京へ上京します。絵だけでは食べていけないことと、長女が1962年に生まれ、彼女に絵本を与えたいという気持ちがおきたことも加わり、司は絵本に興味をもち始めます。そのなかで、偕成社から絵本に絵を描かないかと声がかかったのが、アンデルセンの原作に、児童文学作家の浜田広介が文を短く書き直した『みにくいあひるのこ』のための絵でした。(この偕成社の「ひろすけ絵本」シリーズのために、いわさきちひろは『りゅうのめのなみだ』の絵を描いています。)

司修 『みにくいあひるのこ』(アンデルセン・作、浜田廣介・文)偕成社より 1965年
司は、絵本の絵を準備するために、当時住んでいた大泉学園の家から近い、石神井公園や井の頭公園に行き、アヒルやペリカン、白鳥などの水鳥をスケッチします。

司修 白鳥、おしどり 1965年
「目的があってスケッチするのはすごく楽しい。特に僕の絵は見て描く絵ではないので、夢中になって描きながら、見て描く楽しさを知りました。」と当時のことを語っています。完成した絵本には、白鳥や、もちろんアヒルも、表情豊かに描かれています。
展示室では、他の場面もご覧いただけます。
ぜひ、原画を見にいらしてください。
▽開催中の展覧会
2025年5月16日(金)~7月21日(月・祝)
ヒロシマトマト 司 修 展
アンデルセン生誕220年 ちひろと見つめるアンデルセン
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