[表紙の作品]いわさきちひろ ままごと 1959年

あたたかい春の日差しのもと、蝶が舞うなか、子どもたちはそれぞれお母さんや、お客さんなどになりきって、あそんでいます。「さあ、どうぞ」「ありがとうございます」という会話も聞こえてきそうです。手前にすわる三人と一匹、奥に立っているふたりと一匹が、バランスよく画面のなかに配置され、野に咲く花はもちろん、子どもたちの使っているおもちゃの食器のひとつひとつまで丁寧に描かれています。ちひろは、ままごとをする子どもたちの情景を何度か描いており、スケッチも残されています。子どもたちの「ごっこあそび」を愛おしく、懐かしく感じながら見ていたのでしょう。