いわさきちひろ 見つめる少女 1967年

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いわさきちひろ生誕100年「Life展」

ひろしま 石内都

―広島から「ひろしま」へ

写真家の石内都は、1945年8月6日の広島の原爆で被爆した人たちの遺品のなかから肌身に直接触れたものを中心に選び、ライフワークとして撮影を続けています。一方、いわさきちひろは被爆した子どもたちの作文や詩を編んだ本『わたしがちいさかったときに』(1967年 童心社刊)のために絵を描きました。
直視するにはあまりにも大きな惨事の影に見失いがちな、ひとりずつの生に焦点をあてた写真と絵本による作品は、過去の歴史的事実にとどまらず、現在その作品を見る私たちにさまざまなことを問いかけています。ふたりの女性芸術家がとらえた「ひろしま」を起点とした作品の共鳴をご覧ください。

展覧会の見どころ

ちひろの「わたしがちいさかったときに」

まっすぐ前を見つめる少女や焼け跡を見つめる少年。被爆した子どもたちの姿を、ちひろは鉛筆と墨で描き、「戦争の悲惨さというのは子どもたちの手記を読めば十分すぎるほどわかります。私の役割は、どんなに可愛い子どもたちがその場におかれていたかを伝えることです」と語っています。

石内都の「ひろしま」

自然光に浮かびあがるブラウスやおしゃれなワンピース。あたたかみの感じられる写真に写るのは、石内が十年来通う広島の平和記念資料館に寄贈された遺品です。「遺されたものたちを美しいと思うその向こうには、本当に美しかった原爆投下以前という事実がある」と石内は語っています。

広島 ヒロシマ HIROSHIMA

原爆投下から73年、広島をテーマにした芸術作品は、文学から音楽まで今も世界に幅広く生まれています。昨年のICANノーベル平和賞受賞など核兵器廃絶は人類全体のテーマです。ちひろと石内の作品を通して、私たちそれぞれの広島を考えるきっかけとします。

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 美術館だより 
※展覧会の解説などを掲載した「美術館だより」は上記リンクからご覧いただけます。
プレスリリース

石内都 からのメッセージ


※「いわさきちひろ生誕100年」記者発表時(2017年11月1日)の映像です。

 

いわさきちひろ 焼け跡を見つめる少年 『わたしがちいさかったときに』(童心社)より 1967年

死んだ子どもを抱く母親『わたしがちいさかったときに』 (童心社)より 1967年

©Ishiuchi Miyako「ひろしま#9」Donor:Ogawa, R. 2007