旅の絵本
『はじめてのおつかい』
筒井頼子・作 林明子・絵
出版社:福音館書店
出版年:1976年
みいちゃんは、ママにあかちゃんの牛乳を買ってきてと頼まれます。初めてのおつかいは、友だちに会ったり、坂で転んだり、ハラハラドキドキの大冒険です。けれど、やっと着いたお店には、誰もいません。無事にみいちゃんはおつかいができるのでしょうか?
今はあまり見られなくなった懐かしい街角の風景を色鉛筆のやわらかい色とタッチで、林明子が描いています。1976年の出版以来、読み継がれ、親しまれている絵本です。
『おとうさんのちず』
ユリ・シュルヴィッツ・作 さくまゆみこ・訳
出版社:あすなろ書房
出版年:2009年
戦争で故郷を逃れ、遠い東の国までやってきたぼくたちの家族は、土を固めた床の上で眠り、食べ物も足りない毎日です。ある日、パンを買いに市場に出かけたお父さんは、パンではなく、大きな地図を買ってきます。ひもじくて、最初はお父さんを怒ったぼく。でも、地図を眺めるうちに、灼熱の砂漠、雪山、高いビルが立ち並ぶ都会、心は自由に遠くに旅ができることに気がつきます。ポーランドのワルシャワに生まれ、実際に幼い頃、戦火で国を追われたシュルヴィッツが、トルキスタン(今のカザフスタン)で暮らしたときのことをコラージュ、ペンとインク、水彩で描きました。
『スティーブンソンのおかしなふねのたび』
ナンシー・ウィラート・文 アリス&マーティン・プロベンセン・絵 ひらのけいいち・訳
出版社:ほるぷ出版
出版年:1990年
『宝島』で知られる19世紀のイギリスの作家スティーブンソンの船旅を描いた絵本。豪華客船ではなく、貨客蒸気船でイギリスからニューヨークに向かったスティーブンソン夫妻。スティーブンソンは、友人への便りで「わたしたちの厩舎船はすてきでした」と伝えたそうです。マントヒヒに食事のスプーンをとられたり、嵐のときに舵をとったのは、チンパンジーだったりと、読んでいる私たちも一緒におかしな船旅を楽しめます。ユーモアあふれるプロベンセン夫妻の絵と平野敬一がリズムのよい日本語に訳したウィラートの言葉が絶妙にマッチしています。
長新太の絵本は不思議な旅を思わせるものが少なくありません。
現在、安曇野ちひろ美術館で原画が展示されている2冊の本ではどんな旅になるのでしょう。
(2011年5月13日~7月12日 安曇野ちひろ美術館 展示室3)
『うみちゃんのまど』
中川ひろたか・文 長新太・絵
出版社:偕成社
出版年:1997年
もし、ある日窓から外を見ていて、通り過ぎる飛行機に声をかけたところ、飛行機が「なんのようか ここのか とおか。」と言って部屋に入ってきたらどうしますか?主人公のうみちゃんに起きたことがまさにそれです。うみちゃん、ちょっとは驚きましたが「へんな ひこうき。」と言って、初めての飛行機の旅にでかけます。まあ、その行き先もいい加減で、しりとりできめるのです。最初は「きいろのくに」、次は「ろくでもないくに」。中川ひろたかのだじゃれたっぷりの文と長新太の刺激的な色と絵があわさり、強烈な「旅」を、読者はうみちゃんと一緒に楽しめることでしょう。
『たぬきのじどうしゃ』
ちょうしんた・作
出版社:偕成社
出版年:1987年(絶版)
もし、車を運転しているところに魚が飛んで入ってきて、「かいぶつがでたのです。たすけてちょうだい。」と震えながら言ってきたらどうしますか?主人公のたぬきのおじさんに起きたことがまさにそれです。たぬきは勇気をもって、魚の言う川へと向います。すると、おおきな緑の目が川からこっちを見ているではありませんか。さあたいへん。映画になりそうな、少し恐ろしい冒険も、長新太の手にかかると、ずいぶん奇妙でおかしい絵本になってしまいます。
ちひろ この1冊
『ちひろ 秋の画集』
出版社:講談社
出版年:2010年
この秋、ちひろの季節の画集が刊行されます。その第一弾が『ちひろ 秋の画集』。
たわわに実る真っ赤な柿、秋の夕暮れのなか遊ぶ子どもたち、色づく木の葉……、
ちひろが秋という季節をすくいあげ、描いた作品の数々が掲載されています。
かぜ どこから ふくの ふゆ どこからくるの あき どこへいくの (いわさきちひろ1968年)
ところどころに添えられたちひろや息子の猛の言葉がアクセントとなり、詩画集を読むように楽しめる1冊です。
- 『いそっぷのおはなし』 木坂涼・再話 降矢なな・絵 グランまま社 2009年
- 『くろずみ小太郎旅日記 おろち退治の巻』 飯野和好・作 クレヨンハウス 1997年
- 『旅の絵本Ⅰ』 安野光雅・作 福音館書店 1977年
- 『ピリカ おかあさんへの旅』 越智典子・文 沢田としき・絵 福音館書店 2006年
- 『古い旅の絵本』 茂田井武・著 JULA出版局 1999年
- 『ろけっとこざる』 H.A.レイ・文/絵 光吉夏弥・訳 岩波書店 改版版1998年
- 『ABC旅の絵本』 アニタ・ローベル・作 青木久子・訳 セーラー出版 1996年
- 『コウノトリはどこへいく』 アンドレア・ペトルリック・フセイノヴィッチ・作 岡田好恵・訳 講談社 2009年
- 『ボルカ』 ジョン・バーニンガム・作 きじまはじめ・訳 ほるぷ出版 1993年
- 『サンタのなつやすみ』 レイモンド・ブリッグス・作 さくまゆみこ・訳 あすなろ書房 1998年
- 『ノアのはこぶね』 ピーター・スピア・絵 松川真弓・訳 評論社 1986年
- 『シンドバッドの冒険』 ルドミラ・ゼーマン・文/絵 脇明子・訳 岩波書店 2002年
- 『おやゆびひめ』 立原えりか・文 いわさきちひろ・絵 講談社 2005年
- 『バスにのって』 荒井良二・作 偕成社 1992年
- 『たろうのおでかけ』 村山桂子・作 堀内誠一・絵 福音館書店 1963年
- 『ぼくらの地図旅行』 那須正幹・文 西村繁男・絵 福音館書店 1989年
- 『西遊記』 唐亜明・文 于大武・絵 講談社 1994年
- 『ジス イズ ホンコン』 ミロスラウ・サセック・著 松浦弥太郎・訳 2006年
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