
【学芸員がじっくりご紹介!展覧会みどころ③】 「ちひろが描いた広島の原爆『わたしがちいさかったときに』」
現在、開催中の展覧会、『戦後80年 ちひろと世界の絵本画家たち 絵本でつなぐ「へいわ」』では、広島で被爆した子どもたちの手記に絵をつけた『わたしがちいさかったときに』(長田新/編<原爆の子>他 童心社 1967年)の原画を展示しています。
ちひろは広島へ取材に出かけ、爆心地付近に宿を取りましたが、「この床の下に子どもたちの骨があるのよね」と語り、一睡もできなかったといいます。ちひろはこの絵本を描くにあたり、どんなに可愛い子どもたちがその場におかれていたかを伝えることに心を砕きました。表紙の「見つめる少女」の原画に残された、執拗に描き直しを重ねた鉛筆のかすれたタッチや紙の荒れが、少女の深い悲しみと画家の苦渋を伝えています。

いわさきちひろ 見つめる少女 『わたしがちいさかったときに』(童心社)より 1967年

いわさきちひろ トマトと少女 『わたしがちいさかったときに』(童心社)より 1967年
日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞を機に、次の世代に語り継ぐことの大切さが話題にもなりました。子どもたちの手記とあわせて、『わたしがちいさかったときに』の原画をぜひご覧ください。
※展示室内の撮影はご遠慮いただいております。
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