開催中の展覧会「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」のご紹介②
昨日にひきつづき、現在開催中の「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」の見どころをご紹介します。
本展覧会では、童画とともに初山滋の大切な画業である“木版画”も展示しています。
日本で創作木版画が盛んになったのは1920年代からで、江戸時代からの浮世絵とはまた違う、自画・自刻・自摺の版画が新鮮に受け入れられました。初山が木版画をはじめたのは1930年ごろでしたが、本格的に取り組むようになったのは、日増しに戦時色が濃くなっていった1930年代も後半からでした。子どもの本でも戦意をあおるような絵が求められるなか、そうした絵が描けなかった初山の仕事は減っていき、この時期に版画制作を集中して行っています。空襲が激しくなっても疎開せずに、版木を彫り続けたといいます。戦後再び子どもの本の仕事が忙しくなってからも、版画制作は続けられました。木版画では自分好みの画題に取り組むことができることもあって、初山の妖しく奇抜な発想やモダンな造形がいかんなく発揮されています。
同じ長野県内の須坂版画美術館でも「初山滋木版画展 初山イズム」(9月30日~11月26日)が開催されています。ぜひ合わせてご覧ください。
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