[表紙の作品]いわさきちひろ すすきと夕焼け 1972年

淡く光を透かしたすすきが、風に揺れています。ちひろは、水彩絵の具で秋の光景をやわらかく描き出しました。夕映えを絵の具のにじみでとらえ、すすきの穂の束や、鋭く伸びた葉は、筆のかすれも生かして表情をつけています。

すすきはちひろの秋の絵にしばしば登場する植物です。1966年、自然豊かな黒姫高原に山荘を構えたちひろは、周辺を散策して過ごすことが好きでした。はさみを持って出かけては、抱えきれないほどの草花を集めてきて山荘中を飾ったそうです。間近に触れ、確かな観察をもって描かれた草花は、いまもちひろの絵のなかで鮮やかに息づいています。