学芸員による「あ・そ・ぼ」展 見どころ紹介⑥ まどのらくがき
展示室のなかに、雨音が……?
ちひろ美術館・東京にて開催中の「あ・そ・ぼ」展では、plaplaxが絵本『あめのひのおるすばん』に着想を得て制作したインタラクティブな作品≪まどのらくがき≫も展示しています。
絵本の主人公の少女は、雨の日にお母さんを待って、ひとりで留守番をしています。ピアノで遊んだり、窓の外を眺めたりしながら過ごしますが、急に電話が鳴ったり、暮れていく街並みを見ていると不安は増すばかり。たまらず、少女は「わたしの おねがい」を曇った窓ガラスに指で描きます。
ちひろには、幼い日に東京から信州へ電車で向かう際、自席の曇った窓ガラスに絵を描いているとほかの席からも声がかかり、一車両の窓いっぱいに絵を描いて回ったというエピソードが残っています。この少女にはちひろの幼少期の体験が投影されているのかもしれません。
展示室には雨音が響き、窓枠をイメージしたスクリーンには、曇った窓ガラス越しに見たようなこの場面が映し出されます。スクリーンに触れると、きゅきゅっという音がして……?
雨の日の気分で、ぜひ、きゅきゅきゅっと窓にらくがきをしてみてください!
◆開催中の展覧会(~10/6)
いわさきちひろ ぼつご 50 ねん こどものみなさまへ あ・そ・ぼ
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