[表紙の作品]いわさきちひろ 貝がらを耳にあてる少年 1970年
「こどものせかい」7月号に発表された本作には、中谷千栄子による詩が付けられていました。詩には、「かぜと さよならしたら かいがらの ゆめが のこったの」とあり、少年は、貝がらに耳を当てて、空想をめぐらしているようです。夏の陽射しをあらわすような背景の黄色。少年の髪はわずかになびき、さわやかな海風が想像されます。鼻は少し濃い色なので、海で日に焼けたのかもしれません。子どもは、幼児期くらいに空想あそびやごっこあそび、劇あそびに没入し、空想のハイシーズンを迎えるといわれます。一見するとなにげない仕草ですが、ちひろはあそぶ子どもの姿をとらえ、描きました。
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