展覧会紹介「ちひろ 光の彩(いろどり)」
ちひろ美術館・東京の展示室3・4では、展覧会「ちひろ 光の彩(いろどり)」を開催中です。四季折々の草花とともに子どもたちの姿を描いたいわさきちひろ。ちひろは、水彩のにじみと紙地の余白をいかして、季節ごとに微細にうつり変わる光の表情をとらえました。
生涯を通して子どもをテーマに作品を描き続けたちひろは、このようなことばも残しています。
四月の光がじんわりそそぐ、雨の上った日曜の午前、かげろうがしずかにゆれる。
お母さんたちは冬ものの洗濯にいそがしく、お父さんは、税金の心配で頭が一ぱいだ。そしてこの子たちは、ほんとうにみすぼらしい恰好でやわらかな光のなかに立っている、汚れたメリヤスシャツを今日は一枚ぬいで心までかるくなって、光の中にたっている。ふっくりとした頬が青ずんだ子、足がどろんこな子、すい分と品のないのや、ばかにいじのわるいの……。
大人の夢見るような童心の子どもなんて特別かくりして天国ででもそだてなきぁ、できやしない。けれどあんなにも春の光のうれしい子供たち、私には、子供の肢体の魅力はかぎりない。
いわさきちひろ 1949年
「婦人民主新聞」1949年5月1日より
子どもたちを慈しむように彩られた光に注目してご鑑賞ください。
◆春の展覧会(3/18~6/18)
没後50年 初山滋展 見果てぬ夢
ちひろ 光の彩(いろどり)
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