展覧会紹介「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」

ちひろ美術館・東京の展示室1・2では、企画展「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」を開催中です。本展の見どころのひとつ、幻の絵本「えほんのあめや」をご紹介しましょう。

「えほんのあめや」は、初山滋自身の手による文字原稿のついた、未発表と考えられる絵本原画です。

初山滋 「えほんのあめや」より 1948年(個人蔵)

「さァていらっしゃい、えほんのあめやでござい。つくしんぼ に どうしんぼ、さくらんぼ に あめんぼう。金太郎さんに桃太郎さん。おふく ひょっとこ おきなのめん。おてゝで おっても ちぎっても、ひょこひょこおめんがとびだす ふしぎなあめ。……」

戦後間もない1948年3月に描かれた、まだ子どもたちがあまいあめを口にすることもままならなかったころの作品です。「子供に絵をかく心は 子の親の心である」*と語り、生涯をかけて子どものための絵を描き続けた初山滋。最後の場面、「えほんのあめや」はこうもらします。

「みせにならべた あめちゃんは、みんな さらっととびだして、おどりおどって子供のお口へ——、これはしたり、えほんのあめではとんとあまくなくて とは思いつゝ。」

◆開催中の展覧会(3/18~6/18)
没後50年 初山滋展 見果てぬ夢
ちひろ 光の彩(いろどり)

*初山滋『初山滋版画集』(講談社 1976年)