展覧会紹介 「くらし、えがく。ちひろのアトリエ」その②

現在ちひろ美術館・東京が建っている練馬区下石神井に、いわさきちひろが18坪の小さな家を建てたのは1952年の春のことでした。ここで夫・松本善明と、息子・猛との家族3人での生活を始めます。ちひろの仕事場は、家族が集う居間も兼ねていて、子育てをしながら仕事をする日々でした。

ちひろと息子・猛 1954年秋

小さい時は抱いたりおぶったりしながら仕事で大変でした。置いたはずの絵の具がない――と気づいた時には、顔じゅう黄色にして絵の具をなめていたの。絵の具には毒がはいっているかと思って、まっ青で病院にとんでいったこともありました。」と、後にちひろは当時を振り返っています。

いわさきちひろ 座る5人の子どもたち 1960年代半ば

息子は最高のモデルでもありました。息子やその友だちが遊ぶ姿を身近に見て、折に触れてスケッチしていたちひろは、どんな格好をした子どもの姿も描けるようになっていきました。絵のなかの子どもたちには、当時の息子や近所の子どもたちの面影があるそうですが、今見ても、身近にこんな子、いそうですよね。

◆開催中の展覧会
くらし、えがく。ちひろのアトリエ
2022年10月8日(土)~2023年1月15日(日)