谷内こうた展 風のゆくえ ①谷内こうたってどんな人?

安曇野ちひろ美術館では現在、〈企画展〉谷内こうた展 風のゆくえを開催中です。
今週から3回に分けて、谷内こうたの魅力をお伝えしていきます。

① 谷内こうたってどんな人?

谷内こうたは染織工房を営む家に生まれ、芸術に日常的に触れる環境で育ちました。
1971年、23歳の時に3作目の絵本『なつのあさ』で日本人として初めてボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞、鮮烈なデビューを果たします。
そぎ落とされた絵と詩のような最小限のことばで展開する絵本は、日本でもヨーロッパでも驚きを持って迎えられました。移り行く光や空気を色の変化で表し、現実と空想の世界を自由に行き来する谷内の絵本は、今も見るものを魅了し続けています。

ドイツやフランスの四季折々の自然や街並みを愛した谷内は、35歳のときに家族と共にフランス・ノルマンディーに移住し、アトリエを構えて数多くの油彩画も描きました。
「最初、ヨーロッパに来た時、いつまでいるかわからないし、風景は日本では描けないから今のうちに風景をいっぱい描いておこうという意識があったけれど、やっぱりだんだん好きになっていきましたね。」とも語っていた谷内。
71歳でなくなるまで多くの絵を描き続けたその姿は、生まれながらの画家でした。

本展では、谷内が娘に宛てた絵手紙や幼少期の絵など、彼の人となりを感じられる資料も展示しています。谷内の50年近い画業のなかで生まれた作品の数々をご覧ください。

写真:自宅の庭にて 1992年