ちひろが願った子どものしあわせ
3月から、一時臨時休館を経て、長く開催してきました「いわさきちひろ 子どものしあわせ―12年の軌跡」も、いよいよ明日までとなりました。最後にご紹介するのは、この展覧会を機に寄贈された1点です。
「鳩と少女」は、1965年4月号の雑誌「子どものしあわせ」の表紙を飾った作品です。2色印刷という制限のなかで、ちひろは、少女の顔と手、周囲のけしの花にのみ着彩し、鳩の白色とけしの朱色のコントラストを鮮やかに画面に落とし込みました。
少女が大事そうに抱える鳩は、ちひろが1960年頃から飼っていた白い鳩のポッコを思わせます。息子・猛の記憶では、ちひろは仕事の手をとめ、ベランダのポッコを見つめていることがあったといいます。
「子どものしあわせ」という雑誌のタイトルにも共鳴していたちひろ。鳩に平和の象徴の意味も込め、平和と子どものしあわせを願って描いたのかもしれません。
本作は、明日10/11まで、ちひろ美術館・東京でご覧いただけます。ご来館を心よりお待ちいたしております。
◆いわさきちひろ 子どものしあわせ―12年の軌跡
◆没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗―絵と物語の間(あわい)
※10/12(月)~10/16(金)は展示替えのための臨時休館となりますので、ご注意ください。
(I.A.)
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