2016.4.28 /[表紙の作品]いわさきちひろ 「てるてるぼうずと少女」 1971年

明日が晴れるようにと願いを込めてつくったてるてるぼうずを、窓辺に吊るしたところでしょうか。外は雨ですが、少女の表情はこれでひと安心とでもいうように明るく見えます。
ちひろの描く雨は、色の豊かさに特徴があります。この絵でも、雨の見せる微妙な色を、水に溶ける水彩絵の具のにじみや透明感を生かして表現しています。桃色や紫、水色、黄色などがにじみ合う色合いから、雨の降りしきる戸外の景色や、くもった窓ガラス、その向こうの部屋のなかの空気、雨を眺める少女の気持ちまでもが感じられます。雨の日ならではの情感を、たっぷりとたたえた一点です。