[表紙の作品]いわさきちひろ はだかんぼ 1970

セーターとズボン、パンツも脱いで、はだかんぼになっておふろに駆けていく子どもが描かれたこの作品は、絵本『おふろでちゃぷちゃぷ』(童心社)の一場面です。ちひろは自らの子育てを振り返り、「ただ観察してスケッチだけしていても描けない。ターッと走ってきてパタッと飛びついてくるでしょ、あの感じなんてすてきです」と語っています。
水彩絵の具による濃淡や微妙な色調、巧みなデッサン力を駆使し、子どものふくよかな肌ややわらかな髪、はつらつとした動きを描いています。ほんのりと赤味のさす頬や指先からは、子どもを抱きしめたときの体温までもが感じられます。