いわさきちひろ ガーベラを持つ少女 1970年頃

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ちひろ・子どもは未来

画家いわさきちひろは、子どもたちの心に共感し、未来を生きていく彼らの可能性を信じ、平和な日常のなかで輝くその姿を描き続けました。
さまざまな困難に直面する今の私たちに、ちひろが描いた子どもの絵は、本当に大切なものを問いかけているようです。本展ではちひろの絵とことばを通して、時代が移っても決して変わることのない大切なものを見つめなおします。

花に重ねて

子どものほかに、ちひろが生涯描き続けたテーマのひとつが花です。ちひろのくらしのなかには常に花がありました。ちひろ自ら、数多くの植物を育て、束の間の時間を懸命に咲く花を慈しんでいました。ちひろは、花に重ねて、未来へ伸びていく子どもの姿を描き、その尊いいのちや、豊かな感受性が平和な世界でこそ輝くことを伝えているようです。

いわさきちひろ 黄色いシクラメンと子ども 1969年

絵本『あかちゃんのくるひ』

お母さんが生まれたばかりの弟といっしょに家に帰って来る日の少女の心の動きを描いた絵本『あかちゃんのくるひ』は、三人姉妹の長女だったちひろの思い出が重ねられています。場面ごとに少女の不安や期待、そしてよろこびに満たされる気持ちが繊細に映し出されています。ちひろ自身のなかにずっと息づいていた子どもの心が、子どもの存在そのものとその尊さを代弁しているようです。

いわさきちひろ あかちゃんのくるひ『あかちゃんのくるひ』(至光社)より 1969年

平和への願い

ちひろは、子どもがいる平和な情景を描く一方で、戦争のなかで生きることを余儀なくされた子どもたちを絵本のなかに描いています。1972年から翌年にかけて、ちひろは病をおして絵本『戦火のなかの子どもたち』に取り組みます。この絵本で、ちひろは、未来を生きることができなかった子どもたちに心を寄せ、戦争への怒りと悲しみを描きました。

いわさきちひろ 戦火のなかの少女『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)より 1972年

ピエゾグラフで見る『窓ぎわのトットちゃん』

展示室4では、ピエゾグラフで見る『窓ぎわのトットちゃん』を開催します。『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)には、戦時中もユニークな教育方針を貫いたトモエ学園での小学校生活を中心に、著者・黒柳徹子(ちひろ美術館館長)の子ども時代がいきいきとつづられています。国内で累計800万部を超えるベストセラーとなった本書は、現在、35ヵ国以上で出版され、世代と国境を超えてちひろの絵とともに世界中の人々から愛されています。
安曇野ちひろ公園・トットちゃん広場の開園5周年、そして『窓ぎわのトットちゃん』の刊行40周年を迎える今年、あらゆる子どもたちが輝くトットちゃんの物語の世界を、ピエゾグラフによるちひろ作品でご紹介します。

*ピエゾグラフ……耐光性のある微小インクドットによる精巧な画像表現で、ちひろの繊細な水彩表現を高度に再現しています

いわさきちひろ こげ茶色の帽子の少女 1970年代前半