中国の絵本

ゆうかんなアジク
『ゆうかんなアジク』
趙朝勲・再話 関野喜久子・訳 徐喚民・趙朝勲・絵

出版社:福音館書店
出版年:1994年

昔、ガーシャンという村を襲った9つの頭を持つおそろしい鳥を、勇敢な若者アジクが、さまざまな困難を乗り越え、命をかけて退治します。以来、ガーシャンでは、お正月に氷の彫刻を置き、新年の平和で豊かな暮らしを願うそうです。中国北部の少数民族、満族に伝わる民話。長く農村で暮らし、満族の絵画技法を習得したという徐喚民の絵は、満族の独特の髪形や衣装、ピンクや紫を大胆に使った鮮やかな色彩、と目をひきます。読み終わった後、もういちど絵本の表紙と裏表紙にご注目。現代の人々が氷を掘り、新年を迎える様子が描かれていますよ。


旅の絵本 Ⅶ
『旅の絵本 Ⅶ』
安野光雅・作

出版社:福音館書店
出版年:2009年

旅人は舟を漕ぎ、「中国文明の母」といわれる黄河をさかのぼりながら、広大な中国を旅します。旅人を追いながら、太極拳、京劇、葬式の泣き女……、中国の人々の暮らしが細かく描きこまれ、自分も旅をしているかのよう。正月の龍がもつれたり、橋で船が通れずあわてて皆でUターンをしようとしたり、安野ならではのユーモアも随所に描かれ、発見しては、くすっとしてしまいます。1977年に始まった旅も7冊目。イギリス、デンマーク、スペイン、アメリカと旅を続け、今回、初めてアジアにやってきました。


京劇がきえた日
『京劇がきえた日』
姚紅・作 中由美子・訳

出版社:童心社
出版年:2011年

日本、中国、韓国の3国の絵本画家たちが、それぞれの国で共同で12冊の絵本を出版していく取り組み「日・中・韓 平和絵本」の一冊。
1937年南京。主人公の9歳の女の子はおばあさんの家に預けられています。そこへ、京劇の名優シャオおじさんが公演の間、泊まりにやってきました。川岸での練習には、その美声を聞きに、毎朝多くの人が集まります。京劇の場面は、絵本では観音開きで、華麗な舞台が観客とともに描かれています。作者は、南京が受けた惨状に多くのページは割いていませんが、シャオおじさんが去ってからの人々の不安な表情、街中のようすから、戦争の不穏な空気が伝わってきます。鉛筆で繊細に描かれた人々の暮らしと、そこに根づいていた京劇の舞台。日本の侵略が奪った、かけがえのないものについて読者は知るのです。


  • 『桃源郷ものがたり』 福音館書店 松井直・文 蔡皋・絵 2002年
  • 『パオアルのきつねたいじ』 蒲松齢・原作 心怡・再話 蔡皋・絵 中由美子・訳 徳間書店 2012年
  • 『北京 中軸線上につくられたまち』 于大武・著/文 文妹・訳 ポプラ社 2012年
  • 『ナージャとりゅうおう』 唐亜明・文 于大武・絵 講談社 1990年
  • 『天下一の弓使い』 松本猛・再話 武建華・絵 小学館 2005年
  • 『ふしぎな皿の小さな漁師』 チャン・スージエ・文 ワン・ジファ・絵 うるしばらすみこ・訳 ほるぷ出版 1981年
  • 『金の瓜と銀の豆』 チャオ・エンイ・文 ホー・ミン・絵 きみじまひさこ・訳 ほるぷ出版 1980年
  • 『やさしいりゅう』 劉霆華・著 田黎明・絵 君島久子・訳 小峰書店 1988年
  • 『ヤンメイズとりゅう』 松居直・関野喜久子・再話 譚小勇・絵 福音館書店 1994年
  • 『ちょうちんまつり』 唐亜明・文 徐楽楽・絵 福音館書店 1994年
  • 『よあけまで』 曹文軒・作 和歌山静子・絵 中由美子・訳 童心社 2002年
  • 『万里の長城』 加古里子・文 常嘉煌・絵 福音館書店 2011年
  • 『ね、うし、とら……十二支のはなし 中国民話より』 ドロシー・バン・ウォアコム・文 エロール・ル・カイン・絵 へんみまさなお・訳 ほるぷ出版 1978年
  • 『ロンポポ』 エド・ヤング・再話/絵 藤本朝巳・訳 古今社 1999年
  • 『王さまと九人のきょうだい』 君島久子・訳 赤羽末吉・絵 岩波書店 1969年
  • 『ニューワと九とうの水牛』 小野かおる・文/絵 福音館書店 2007年
  • 『西遊記』 呉承恩・作 君島久子・訳 瀬川康男・画 福音館書店 2004年
  • 『ヤンヤンいちばへいく』 周翔・作 文妹・訳 ポプラ社 2006年
  • 『チュンチエ』 朱成梁(ユイ・リーチョン)・文 チュ・チョンリャン・絵 中由美子・訳 コンセル 光村教育図書 2011年
  • 『ちいさなこまいぬ』 熊亮(キム・シオン)・作 長田弘・訳 2007年
  • 『魔法の筆』 ホン・シュンタオ・文 ワン・レイミン・絵 もりずみかずひろ・訳 ほるぷ出版 1981年