ちひろ展の見どころ紹介① ちひろのそばにいた犬たち
ちひろ美術館・東京で開催中の展覧会「ちひろ いつもとなりに―子どもと動物―」について、展示担当学芸員が、その見どころをご紹介します。
第1回
ちひろのそばにいた犬たち
小さないのちを、やさしいまなざしで見つめたちひろ。そのそばには、いつも動物がいました。
「ちひろ いつもとなりに―子どもと動物―」展では、ちひろが飼っていた動物たちの写真資料をご覧いただけます。
今回は、ちひろが練馬区・下石神井の家でともに暮らした犬たちをご紹介します🐕
ひとり息子・猛が生まれた翌年の1952年、ちひろは練馬区下石神井に家を建てます。
亡くなるまでの22年間を過ごしたこの場所で、ちひろはさまざまな犬と暮らしました。
①パッピー:ちひろの妹・世史子が飼っていた犬の子どもで、最初に下石神井の家にやってきた犬です。幼い猛と遊ぶパッピーの写真が、1950年代のアルバムに多く残されています。

長男・猛(3歳)とパッピー(パップの子ども) 1955年
②イチ:パッピーの死後、1959年8月に画家の丸木位里・俊夫妻から譲り受けた、2代目の飼い犬です。ともに暮らした期間は1年ほどと短く、写真もあまり残っていませんが、短い足とかわいらしい顔が印象的な小型犬でした。(写真・中央がイチ)

写真中央 イチ(丸木夫妻から譲り受けた犬)1959年8月
③チロ:『わたしのえほん』(新日本出版社 1978年)をはじめ、ちひろの文章にもたびたび登場するので、ご存じの方も多いかもしれません。イチが来てほどなくして家族に加わり、15年と最も長生きしました。ちひろの夫が血統書付きのスピッツだと思いこんで、もらってきた犬です。ただ、毛足の短いチロの姿を見たちひろは、スピッツの子ではないと、すぐにわかったといいます(実際は、雑種犬でした)。

チロ(11歳) アトリエにて 1969年(推定)

6か月のチロ 上井草の自宅にて 1960年

ちひろが息子・猛に送ったハガキ 1964年7月21日
こちらは、臨海学校に行っていた息子にちひろが送ったハガキで、本展ではじめて展示される資料です。
ハガキには、チロにまつわるエピソードが記されています。
お客さんの後を追って外に出たまま帰ってこないチロを、ちひろは深夜、自転車で迎えにいきます。ボンヤリと淋しそうに座るチロの姿を発見したちひろが「チロ」と呼ぶと、チロは耳をきっと立て、うれしそうに飛び上がったそう。「最高のごきげん」で帰ってきたチロは、その後、朝までちひろの寝室で眠ったそうです。
ハガキに添えられた絵からも、チロへの愛情が伝わってきますね。
▽開催中の展覧会:2026年3月1日(日)~ 5月10日(日)
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ちひろ いつもとなりに―子どもと動物―
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