ちひろと木の葉

いわさきちひろのアルバムには、木の葉を写真とともにとじたページがあります。植物を愛したちひろが、楽しみながらレイアウトをしたようすが伝わってきます。

11月、冬の風が吹き始める黒姫の山荘で、ちひろは「枯れ葉の嵐」を見たことがある、と息子・猛に語っています。強い風がすべての木の葉を舞い上がらせ、山荘の窓という窓が赤や黄色の葉で埋めつくされ、部屋のなかまで一瞬明るく輝いたという「枯れ葉の嵐」。ちひろはひとりそこに座り、この「色の嵐」に胸を打ち震わせていたといいます。
ちひろは、こうした折々に得た感覚をもアルバムにとじ、作品に描き出しているのかもしれません。

いわさきちひろ 落ち葉とどんぐりと子ども 1962年

▽ちひろ美術館・東京
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