8/11 山の日

今日8月11日は、山の日。
山の日にあわせて、ちひろ美術館・東京で開催中の企画展「谷内こうた展 風のゆくえ」から、絵本『ぼくたちのやま』をご紹介します。

谷内こうた 『ぼくたちのやま』(至光社)より 2018年 個人蔵

うつりゆく四季のなかにどっしりとたたずむ山と、そのふもとで遊ぶ子どもたちが描かれた『ぼくたちのやま』。谷内こうたは、遠く離れたフランスの地から、2011年の東日本大震災の後におきた、福島の原発事故に心を痛めていました。2017年の春には、谷内の長年の理解者であった編集者の武市八十雄がこの世を去り、この本は彼に捧げられています。
絵本のあとがきで、谷内はこのように書いています。

「最近、里山という言葉をよく聞くようになりました。行き過ぎた科学技術への過信から、昔からの自然との共生の知恵を見直す人が増えてきました。私が絵本を描き始めたきっかけは、至光社の武市八十雄との出会いでした。氏は理論で理解することも大事ですが、感じること、情で解することの大切さを絵本の世界に求めていました。心に響く何かは、言葉で教えられたものよりもはるかに深いものになるのです。そう言えば、生前、氏は-天然の美-という言葉をしきりにつぶやいていた時期がありました。この本も見て下さる方がそれぞれに、季節の移ろいを感じてくださればと思っています。」

山の日の今日、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。