瀬川康男展 おうちでギャラリートーク 6 「いのちの波動へ―写生と早描きを経て」
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没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)
おうちでギャラリートーク 6
「いのちの波動へ―写生と早描きを経て」
写生を通して植物の声に耳を傾け続けた時間、早描きで無意識のなかから生まれる形をとらえた時間――絵と向き合った時間を経て、瀬川康男は、目に見える形の底にある別の形「いのちの波動」を見出します。
「河童なら河童、女人像なら女人像、その底に別の形があるの。女人の形だけではない、生命体としての動いて止まぬ原型みたいなものが。それとのダブルイメージでつかまえないと、いのちというものは出てこないんじゃないかな」
図録「瀬川康男―いのち・ものがたる絵たち」より 1997年
若いころより、中国の青銅器に刻まれた饕餮文(とうてつもん)*や、「ケルズの書」の文様*などに見る装飾に深い興味を持っていた瀬川は、自らの表現との接点を模索し続けていました。空間を埋め尽くす装飾と、いのちの根源にある形が画家のなかで重なり、「波動の模様」を描く表現へとつながっていきました。
*饕餮文(とうてつもん):中国の神話に登場する怪獣の姿をあらわした文様。
*「ケルズの書」の文様:8世紀に制作されたケルトの装飾写本「ケルズの書」に描かれた幾何学的な文様。
◆展覧会の詳細はこちら
没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)
(K.R.)
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