6月6日 芒種(ぼうしゅ)

いわさきちひろの本棚には、世阿弥(室町時代初期の能役者、能作者)の著書や関連書が数冊置かれていました。ちひろは、世阿弥の芸術観に関心を寄せ、自身の絵本制作との関連を見出し、『世阿弥集』「風姿花伝」には傍線が複数引かれていたといいます。

この能楽伝書「風姿花伝」の一節に、6歳(数え年7歳)の時分に能楽の稽古を始めるとよいとあることから、「6歳の6月6日」に稽古事を始めると上達すると一般にいわれていることはご存知ですか?世阿弥は、「まずはその子の心のままにさせること」と記していることも示唆に富んでいます。

2023年の6月6日は、二十四節気の「芒種」にあたり、雨の季節へと移りかわっていきますが、大人も「手習い」を始める好機ととらえてみると楽しみが増えますね。

◆いわさきちひろについて

いわさきちひろ 傘と子どもたち 1969年