展示作品から その2
ちひろ美術館・東京の展示室2では、エリック・カールとアメリカの絵本画家たちを開催中です。
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/95272/
この展覧会は、エリック・カールの作品と人生を紹介する部分と、当館のコレクションより、コールデコット賞を受賞した画家たちの作品を紹介する部分から構成されています。
今回は、展示されている作品から、すこしカールの紹介をご紹介します。
こちらのあおむしの登場する絵本『はらぺこあおむし』は世界60カ国以上で翻訳された、カールの代表作です。この作品は絵本のために描かれた原画ではありませんが、当館のコレクションで、1999年にカールさんより寄贈されたもの。鮮やかな色を塗って自ら制作したティッシュペーパーを切り貼りし、あおむしの毛はクレヨンで描かれています。カールは、このコラージュの手法でさまざまなものを描いてきました。
特に子どものころから動物が大好きだった彼は、対象をよくみていて、その特徴をしっかりとらえています。
こちらの作品、子猫たちの鳴き声が聞こえてきそうですね。
エリック・カールは昨年91歳にて亡くなりましたが、その生涯はさまざまな出来事や出会いの連続でした。アメリカで生まれた後に、ドイツ系の両親とともにドイツへ渡り、そこで第二次世界大戦の敗戦を迎えています。戦時中、ドイツの街や社会の色はグレーや茶色ばかりで、「あまりにも長いあいだ、色彩から遠ざけられていたから、私は色に対してことさらの情熱を抱いているのだと思います。」とカールは語っています。彼の父親は捕虜となり、8年後収容所から戻ってきたときには別人のようになっていたということです。
幼い時には一緒に自然を歩いて話し合った彼の父親にささげられた絵本『おほしさまかいて!』は絵描きが主人公。このカラフルな場面にはことばは添えられていませんが、争いも無く人も動物も仲よく過ごしている、平和な世界を象徴しているようです。(M.M.)
SNS Menu