瀬川康男展 おうちでギャラリートーク 4「さまざまな技法―テンペラ」

臨時休館中のちひろ美術館・東京から、ご自宅でも展覧会をお楽しみいただける「おうちでギャラリートーク」をお届けしています。

没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)
おうちでギャラリートーク 4「さまざまな技法―テンペラ」

瀬川康男は、日本で最初にテンペラ技法※ を紹介した画家・田口安男から、かねてより興味のあった「膠(にかわ)テンペラ」と「金黄背景のテンペラ」の技法を2日間にわたり、てほどきを受けました。

※テンペラ技法……ヨーロッパのルネサンス初期の祭壇画に使われた技法

ちひろ美術館・東京 展示室1

自作の絵本『だれかがよんだ』(福音館書店/1989年)にも、金黄背景のテンペラを用いています。この絵本に登場しているのは、瀬川が十数年ともに暮らした飼い犬「オビ」です。

瀬川康男 『だれかがよんだ』(福音館書店)より 1989年 ちひろ美術館寄託

常にさまざまな技法を探求し続けた瀬川が、「彼岸の空間を簡単に表現しうる唯一の材料」と表現した金箔の画面のなかで、オビやうさぎ、植物が等しく存在し、交流しています。

オビ

オビの子どもたち

オビが産んだ子犬たちの成長を記録したスケッチブック「オビと四人の子供達」(ちひろ美術館・東京 展示室より)

「身に寸鉄も帯びず、無一物で生きる
四つ足のものたち、オビと、チーを、思う」
瀬川康男 「坦雲亭日乗」より 1997年8月23日

◆展覧会の詳細はこちら
没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)

(K.R.)

※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ちひろ美術館・東京は臨時休館中です。最新の情報は随時公式サイトでお知らせいたします。

ちひろ美術館・東京
https://chihiro.jp/tokyo/