絵本でつなぐ「へいわ」のメッセージ:「戦争が終ったら、」
姉は作業にいくといって出ていった。今でも、その時の姉の姿が目に浮かぶ。ズックをはき、防空ズキンと弁当を持ったあの姿が。…
毎日毎日探した。しかし姉の姿は見えなかった。門の方で足音がすると、姉ではないかと思った。夜は門を開いたまま、いつでも入れるようにしておいた。しかし、姉は帰ってこなかった。…
八月十五日、日本は降伏した。戦争、戦争。戦争の字を見ると、僕は何時も姉の言葉を思い出す。僕が前に田舎で疎開していた頃くれた手紙だ。
「暹ちゃん、一人でさみしいでしょ。私たちも、暹ちゃんがいないのでさみしいのよ。戦争が終ったら、皆一しょに暮らせるのよ。」
木村 暹 高等学校二年生(小学五年生)より、一部抜粋
*記載は作文を書いたときの学年。( )内は、原爆投下当時の学年。
ことば:『わたしがちいさかったときに』(童心社、1967年)より

いわさきちひろ 買い物かごを持つ少女 1969年
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◆絵本でつなぐ「へいわ」のメッセージ
戦後80年 ちひろと世界の絵本画家たち 絵本でつなぐ「へいわ」 の開催にあわせて、本展に寄せられた出品作家からのメッセージ、そして、広島で被爆した子どもたちのことばを、会期中、少しずつご紹介していきます。
◆開催中の展覧会:2025年7月26日(土)~10月26日(日)
戦後80年 ちひろと世界の絵本画家たち 絵本でつなぐ「へいわ」
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