[表紙の作品]いわさきちひろ 「子ども」 1962年

親しげなふたりの子どもは息子の猛と姪の明子がモデルです。はだしで腰かけるふたりは室内にいるのでしょうか。筆致の集積による色面をつないだ背景は具体的な描写を避け、子どもの内面をあらわしているようにも見えます。この作品は、ちひろが最後に制作した油彩です。日本美術会が旧ソ連(ロシア)で1962年に開催した交流展「日本現代美術展」に展示されました。同展には中谷泰も出展しています。この展覧会は、ふたりを含め88名の画家による157点の作品を展示する大規模なもので、モスクワの東洋美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館で約2ヵ月間にわたり開催されました。