2014.9.5/[表紙の作品]いわさきちひろ 「あやめ」 1968年

よくもみ込んだ紙の上に、水をたっぷりふくませた筆で、紫や赤紫、ピンクの色を複雑ににじませて、雨にぬれたあやめが表現されています。絵本『あめのひのおるすばん』のために描かれた作品で、もみ紙の手法は、幼いときの遊びから発想を得たものでした。ちひろはこの絵本のなかで、印刷技術も利用しながら実験的な技法を色々と試しています。「印刷物として子どもが手にする絵本を、版画と同じように、商品ではなく、一冊一冊が第二芸術といえるような質をもった作品」にしたいと考えていた至光社の編集者・武市八十雄は、製版や印刷にも最高の水準を求め、ちひろの新たな絵本づくりに応えました。