[表紙の作品]いわさきちひろ 緑の幻想 1972

木の前で、少女がこちらに向かって手をふっています。少女が被っている帽子は、ちひろが幼少期に身に着けていたものと形がよく似ています。背景の緑に対して、帽子のむらさきの横縞が印象的です。木や馬、猫が白いシルエットで表現され、夏の強い日差しを感じる画面が広がっています。信州にあるちひろの父の実家には馬がおり、幼少期にはよく馬といっしょに遊んでいました。ちひろは「子どもを描いていると、自分の小さかったころのことを自分で描いているような気がします」と語っています。少女を描きながら、幼いころ信州の自然のなかですごした思い出を重ね合わせていたのかもしれません。