
ヌーレディン・ザリンケルク(イラン) カエル 1986年
絵本のなかには、さまざまな「模様」が描かれています。本展では、ちひろ美術館コレクションの作品を、「模様」に注目して展示します。

図1 エリック・カール(アメリカ)『ぼくのねこみなかった?』のイメージ 1972 年
Eric Carle, Image from Have You Seen My Cat? , 1991. A Collection of The Chihiro Art Museum.
©1971 by Penguin Random House LLC.
模様のある生き物
『ぼくのねこみなかった?』は男の子が大切にしていた猫を探すため、世界中を巡る絵本。紹介する作品(図1)は、探していた猫が見つかった最後の場面をもとに描かれました。エリック・カール(アメリカ)は、自ら模様を手描きした色とりどりの薄紙を大量にストックし、そのなかから絵に合わせて選んだ紙を切り貼りして、作品をつくりました。“ ぼくの猫” が連れているたくさんの子猫を、二つと同じ模様のないオリジナルの薄紙で描き分けています。
縁飾りの模様
縁飾りが印象的な絵本もあります。エロール・ル・カイン(イギリス)の『アラジンと魔法のランプ』では、各場面に豪華な縁飾りが施されています。右の作品(図2)の、大胆に並ぶクジャクの羽はエキゾチックな雰囲気で、見るものを異世界に誘います。
茂田井武が挿し絵を描いた小川未明の童話集『月夜とめがね』では、本文を囲む10種類の飾り罫が描かれています。「赤いろうそくと人魚」の飾り罫(図3)では、ろうそくや海藻、人魚など登場するモチーフがデザインされ物語を伝えています。

図2 エロール・ル・カイン(イギリス)『アラジンと魔法のランプ』(習作) 1981 年

図3 茂田井武(日本)『月夜とめがね』(新潮社)飾り罫 1954 年
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