ブライアン・ワイルドスミス(イギリス)『りすのはなし』(らくだ出版)より 1974年
世界の絵本画家たちのなかには、動物を好んで描いた画家や、何度も自然のなかに足を運び、そのスケッチや記憶を頼りに制作した画家がいます。
本展では、ちひろ美術館コレクションのなかから、世界各地の森や島々に生息する動物が描かれた作品を紹介します。
ヤヌシ・グラビャンスキは、若いころから動物の観察とスケッチを繰り返すなかで、動物の瞬間の動きや表情を巧みにとらえるデッサン力を養いました。『カヤのための詩』(図1)では、東洋の水墨画にも通じる勢いのある筆さばきで猫を描いています。実はいわさきちひろも彼の動物画を好み、絵本を大切に持っていました。

図1 ヤヌシ・グラビャン
スキ(ポーランド)『カヤのための詩』より 1969年
マイ・ミトゥーリッチは、動物の写生をするためロシア中をめぐりました。『コマンドルの島じま』(図2)には、エトピリカだけが住む小島やオットセイの住処があるコマンドル諸島の自然が描かれています。ミトゥーリッチの大胆な水彩のタッチは、細部を描きこまずとも動物の特徴をよくとらえています。

図2 マイ・ミトゥーリッチ(ロシア)
『コマンドルの島じま』より 1968年
あべ弘士は、北海道の旭山動物園で25年間、飼育員として勤務した経歴をもっています。動物園を退職した後は、自然のなかに生きる動物本来の姿を観察するため、世界各地を旅しながら絵本を描きました。『ライオンのながいいちにち』(図3)では、画家が何度も訪れたアフリカのサバンナを舞台に、野生動物を大胆な筆致と鮮やかな色彩で描いています。

図3 あべ弘士(日本)『ライオンのながいい
ちにち』(佼成出版社)より 2003年
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