エリック・カール(アメリカ) 『はらぺこあおむし』のイメージ 1999年

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【開館20周年記念 Ⅲ】ちひろ美術館コレクション

貼る!コラージュの絵本

「コラージュ」とは、〈糊付け〉を意味するフランス語で、20世紀美術の一技法です。新聞紙の切り抜きや切手などを画面に貼り付けたパピエ・コレ(糊付けされた紙)が始まりとされ、キュビスムやシュールレアリスムの画家たちに多用されました。絵本の世界でも、描くのとはまたちがった効果をもたらすコラージュの技法は、多くの画家たちを魅了してきました。本展では、ちひろ美術コレクションのなかから、コラージュを用いた作品を展示し、さまざまな質感が織り成す多彩な表現の魅力を紹介します。

エリック・カール(アメリカ) 『はらぺこあおむし』のイメージ 1999年

1969年に誕生したエリック・カールの『はらぺこあおむし』は、今も世界中で最も愛されている絵本のひとつです。本展では、この絵本からイメージして描かれた、縦寸法が1 メートルにもおよぶ特大の作品が展示されます。カールの個性的な作風は、手彩色した薄紙をカッターナイフで切り取り、コラージュするという、独自の手法でつくり出されたものです。カッティングによる輪郭線は描いた線にくらべてはるかに鋭く、カラフルな色調と相まって作品をシャープで明快なものにしています。また半透明の薄紙を重ねることで、複雑な色のニュアンスと立体感を生み出しています。

クラウディア・レニャッツィ(アルゼンチン) 『わたしの家』より 2001年

アルゼンチンのクラウディア・レニャッツィ作『わたしの家』の画面には、糸や植物、段ボール、梱包材など身近なものが貼り込まれています。貼って何かをつくる造形遊びは誰しも経験あるもので、楽しい感覚を呼び覚まします。チェコのクヴィエタ・パツォウスカーの『紙の町のおはなし』では、鉛筆で文字を書き込んだり、クレヨンで彩色したり、カッターで切ったものや手でちぎったもの、透ける薄い和紙など、異なる表情を持つ紙片が幾重にも貼り込まれています。紙の素材を生かした、コラージュならではの変化に富んだ作品です。

クヴィエタ・パツォウスカー(チェコ) 『紙の町のおはなし』より 1999年

赤羽末吉は『お月さん舟でおでかけなされ』で、薄い和紙を色違いで重ね、絵の具とは異なる色合いを追求しました。韓国のシン・ドンジュンは、地下鉄を舞台にした絵本のなかで、切手を乗客に見立てています。台湾出身でコスタリカ在住のウェン・シュウは、中米の伝統刺繍と中国の切り絵の技法を生かした独特の画風を確立しました。多彩なコラージュ作品からは、さまざまな素材の面白さとともに、画家の個性や世界の多様な文化が見えてきます。