いわさきちひろ 「ままごと」 1959年

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ちひろ・子どもとあそび

いわさきちひろは子どもを描き続けた画家です。子どもとあそびは切り離せないもので、彼女の作品にもあそびの情景が登場します。本展では、ちひろの作品をあそびという切り口から紹介します。

自分の世界「絵本の好きだった子は毎日絵を描いてあそんでいた」と、ちひろは自分の少女時代を振り返って書いています。子どもは自分の好きなことを見つけてあそぶ力をもっており、ちひろの作品にも、あそびに興じる子どもたちが描かれています。カレンダーの3 月のために描かれたこの作品では、鮮やかな赤色を背景に、少女が紙びなをつくっている姿が目に入ります。一生懸命に人形をつくる少女は、自分の世界に入りこんでいるようです。画面には、紙びなのほかにも、折り鶴や、お手玉も散りばめられています。

紙びなと和服の少女 1969年

絵雑誌「あそび」
ちひろが1950年代から1960年代前半に描いた絵には、幼稚園で仲間たちとあそぶ子どもの姿がしばしば登場します。1948年に創刊された「あそび」は、「キンダーブック」のような絵本を地方からも、と静岡市の片井商会出版部の元教員である小林治助が同郷の幼児教育者、倉橋惣三に相談して始めた静岡初の幼児絵本です。武井武雄、初山滋らとともに、ちひろも絵を依頼され、1955年から1967年まで描いていたようです。この絵が掲載されたページには、子どもたちが集団で遊ぶことが友人づくりにおいて大切だ、という保護者への指導も記され、ちひろはその内容に合わせて絵を描いています。

「せんせいと いっしょ」 1960年

『となりにきたこ』
「そのころ私は、ときどき垣根越しに隣のむすこと遊んでいた。ある日、垣根越しにその子が一冊の絵本を渡してくれた。」ちひろが語る子ども時代のエピソードには、絵本『となりにきたこ』の主人公が、垣根の向こうに引っ越してきた少年とあそびながら仲良くなる姿とどこか重なります。パステルの線を生かした絵からは、子どものもつ好奇心が見るものにストレート伝わってきます。なつかしく、奥深いあそびの世界。ちひろの作品を通してお楽しみください。

『となりにきたこ』(至光社)より 1970年