展示室4 千人針プロジェクト

「Life展」作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝 見どころ3

1月20日、1月22日の投稿に続き、
ちひろ美術館・東京で現在開催中の いわさきちひろ生誕100年「Life展」 作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝 についてご紹介します。

2001年、当時、妊娠中だった長島さんは、テレビで米国同時多発テロを目撃し、戦争が遠い場所や過去のものではないことを実感したといいます。長島さんは出産後、2004年に、第二次世界大戦中に日本の女性が戦地に赴く男性のために制作した千人針をモチーフにしたインスタレーション作品「千人針プロジェクト」を制作し、戦争と女性というテーマに取り組みます。

展示室4 撮影 木奥惠三

展示室4 撮影 木奥惠三

展示室4では、2005年に発表された本作を軸に、実際に戦時中に千人針に参加した女性のインタビューを撮った映像と、いわさきちひろが描いた『母さんはおるす』の絵を同じ空間のなかに構成して展示しています。
『母さんはおるす』は、ベトナム戦争でゲリラ兵士となった母親と、母親の帰りを待つ子どもたちを描いた実話に基づく物語です。この絵本で、ちひろは戦争の悲惨さのかわりに、無邪気な子どもの表情をことのほか愛らしく描いています。

展示室4 千人針プロジェクト

展示室4 撮影 木奥惠三

いわさきちひろ 三人姉妹 1972年

いわさきちひろ 三人姉妹 『母さんはおるす』より 1972年

ちひろがとらえたいのちとともに、戦争を体験した女性が異口同音に語る「絶対に戦争は嫌」ということばが切実に響きます。(H.M)