8/29(土) こどもワークショップ「アルミのキューブづくり」

夏のこどもワークショップ第3弾は「アルミのキューブづくり」。
昨年に続き、講師に彫刻家の森哲弥さんをお迎えしました。
集まったのは小学3年~6年生の21人。
「アルミのキューブづくり」とは、いったい何をするのかな?

「みなさんは、『彫刻』って何だか知ってますか? このちひろ美術館にもあります。
どこにあるかわかりますか?」森先生からいきなり質問が出されました。
みんな首をかしげたり、きょろきょろしたり……。
ワークショップが行われている多目的展示ホールから見える
芝生の庭を指差す子もいます。
「庭にあるポーニーとリトルジョー(中野滋・作)も彫刻作品です」と森先生。

「みなさんも公園などにある偉い人の銅像などを見たことがあるかもしれません。
長崎の平和を願う像や、街中に大きな文字をデザインしたものなど、
身のまわりをよく見てみると、いろいろなところに彫刻はあります。
それは鉄、石、木、プラスチックなど、さまざまな素材を使って、
いろいろな表現方法で作品の美しさを追求したり、つくる人の思いを表しています。
今日はさまざまな素材を使ってキューブ、立方体をつくります。
素材の持つ質感や変化を感じながら、彫刻を楽しんでみよう!」

1、ツꀀ紙を組み立ててキューブをつくる。
2、ツꀀみつろうねんどをこねてキューブをつくる。
3、ツꀀ木のキューブを紙やすりでけずってトゲトゲをきれいにする。
4、ツꀀ石膏のキューブを紙やすりでけずり、耐水ペーパーをつかってみがく。
5、ツꀀアルミホイルをたたいてキューブをつくる。
6、ツꀀできたキューブに色をぬったり、模様を描いたりして仕上げる。
今日の手順は、ざっとこんな感じです。わあ、やることがなんてたくさん!
みんな頑張ろうね。

さあ、作業が始まりました。前半では紙・蜜蝋・木・石膏の4種類を扱います。
まず、いろいろな大きさの長方形のボール紙をテープでとめて、
被せるふた付の紙箱をつくりました。
次は蜜蝋粘土、蜜蝋が蜂の巣からつくられると聞いて驚く子も。
蜜蝋を指先で角をつまむようにしてサイコロ型にし、
でこぼこの表面をなでながら形を整えていきます。
木のキューブは立方体にカットしてありますが、
ザラザラの切り口を紙やすりにこすりながら、表面をきれいにしていきます。
真白なキューブは石膏でできています。
石膏は山にある白い石を粉のように細かくして焼いたもので、
この粉は水を含むと固まる性質があります。
サイコロ型に固めてある石膏の表面を紙やすりでこすって整えてから、
耐水ペーパーに水をつけて磨いていくと、石膏の表面が、滑らかでつるつるに。

次はいよいよ主題のアルミのキューブづくり。
みんなの家にもあるようなアルミ箔の箱が配られました。
「このペラペラのアルミ箔をクシャクシャと丸めてから、
トンカチでトントンたたいてサイコロ型にしていきます。
丸めるときにアルミ箔の端っこをなるべく内側に内側に入れること、
トンカチでたたくときは、はじめはお饅頭をちょっとつぶしたような形にしてから、
向きを変えて、面ができるようにもう片方の手でしっかり押さえながら
少しずつ叩いていくことがポイントです。
しっかり押さえないとアルミの形が崩れて平行四辺形のようになってしまいます」
きれいな形のキューブが作れますように!

部屋の中央に敷かれたマットの上に金床とトンカチが置かれています。
みんな床に座り込み、車座になってトントントントン……。
でも見ているのとやってみるのでは大違い。
きれいなサイコロの形にするのはなかなか大変です。
アルミを押さえる指のほんの少しの加減がキューブの形を左右します。
「うまくキューブにならないときには、お饅頭をつぶした形を
もっとたたいていくとアルミのメダルになります」
こんな奥の手も披露されました。
最後に、できた作品に色を付けます。
色を付けると、材質によってまた表情が変わります。
それぞれのキューブに思い思いの色を塗ったり、絵を描いて完成。

作業を終えたみんなの感想をいくつか紹介します。
「ひし形になってしまうので苦労しました。左手の加減が難しかったです」
「私は四角はうまくできなかったけど、こんなメダルができました」
「最初、長方形になってしまいましたが、3回目にうまくいってうれしかった」

今日は、材質によってさまざまな性質があり、
それぞれに合った加工・つくり方があることを体験しました。
まさに彫刻の入口を体感したワークショップでした。 (M.T)