ちひろとアンデルセン
世界各国で子どもたちに親しまれているデンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンは、ちひろが愛した作家のひとりです。ちひろが手がけたアンデルセンの作品は、現存するだけで850点を数え、その数からも日本では有数のアンデルセンの描き手であったといえます。「百年もの年代の差をこえて、わたしの心に、かわらないうつくしさをなげかけてくれるアンデルセン——むかしふうの文章なのだけれど、その中にいまの社会につうじる、同じ庶民の悲しさをうたいあげているこの作家にわたしは、ずいぶん学ぶことが多い。アンデルセンの童話のもっている夢が、たいへんリアルであるということが、現代のわたしたちの心にもつうじるのであろう。」とちひろは語っています。